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(株)ローソン 代表取締役 兼 CEO 新浪 剛史 × 西日本高速道路(株) 石田 孝

石田 神戸製鋼の39年間は、サッカーに例えるなら小さな町の広場じゃなく、国立競技場でボールを蹴らせてもらえたような、本当にエキサイティングな毎日でした。当時から私が言い続けてきたのは、自由なアイデアをどんどん出せ、それから、生きるお金はどんどん使えということ。使ってばかりじゃ、いつか底をつくのでは? と思うかもしれませんが、お客様に満足を与えることができれば、そのお金は利益としてしっかり返ってくるものです。
新浪 同感です。私は以前手掛けていた給食事業で、冷たい、おいしくない、という旧来の常識を打ち崩し、温かくておいしいものを、レストランスタイルで提供できる環境を作りました。その結果、お客様からは大変喜ばれ、収益性とは無縁と言われていた分野で従来比5倍、6倍アップという成果を上げることができました。まずはお客様の満足。短期的な儲けに走っては、絶対にうまくはいきません。
石田 西日本高速道路への話が決まった時の不安? う〜ん、正直、ありませんでしたね。これまで長い間、自由にやらせてもらえた会社、そして社会へのご恩返しのために頑張ろうという気持ちの方がずっと大きかった。
新浪 私も不安なんて感じる暇もなかったです。「あれをやろう」、「これをやろう」と、次の展開を考えるだけで大変でしたから。ただ焦りはあったと思います。早く会社を軌道に乗せなきゃ、そのためには自分で考え、自分で何とかしなくちゃと、毎日ドタバタ。周りは、パラシュートでいきなりやって来た小僧が何かやり始めたんだろうなぁ、としか思っていなかったでしょうね。
石田 私も似たような境遇でした。なにしろ、どうすれば利益を上げられるか? という民間では当たり前の議論が、全く行なわれていなかったわけですから。公団の時代は予算消化、お金を使うことが目的。これをお金を使うことはあくまで手段で、お客様に満足を与えることが目的、という思考に変えるのは簡単ではありません。着任から約1年が経ち、ようやく社内の意識が変わってきましたが、まだまだこれから。そちらはいかがですか?
新浪 自分のやり方で半年ほどやってみて、ある時「これじゃダメだ」と思いました。そこで、実際に各地の店舗に出向き、現場の意見を聞いてまわったんです。すると、店長やオーナーさんはいろんな考えを持っていて、各自が工夫しながら頑張ってるんです。地域には地域の状況があって、中央と同じことをやろうとしても無理なんですね。他社のやり方も何の参考にもならない。「ローソン型」という独自のスタンダードを自分たちで作り上げなければならないことが分かりました。あれこれ指示を出さず、社員自らで考えたことをやらせた方がモチベーションは上がる、ということにも気付きました。それからは、社員達が仕事をしやすい環境作りや、風通しの良い社内作りに腐心しました。
石田 確かに、社員の自発的行動を喚起することは重要ですね。同様に、経営者側もただ頑張れ、頑張れと言うばかりではなく、頑張ればこうなれる、ということを社員に見せる必要もあると思います。今、我々は「この山」に向かって進んでいるんだと。でも、登り方までは言わない。北壁から、南壁から、登り方は人それぞれ。それが一人一人の特徴であり、個性な……
石田 孝・イシダ タカシ
1966年、株式会社神戸製鋼所に入社。2002年コベルコ建機株式会社 代表取締役社長に。その後、2004年に、コベルコクレーン株式会社 代表取締役社長兼、コベルコ建機株式会社 代表取締役会長を経て、2005年、西日本高速道路株式会社 代表取締役会長に就任。2006年には西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社 代表取締役会長となる。
www.w-nexco.co.jp
新浪 剛史・ニイナミ タケシ
1981年、慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。1991年、ハーバード大学経営大学院を卒業しMBAを取得。1995年、ソデックスコーポレーション(現レオックジャパン)代表取締役に就任。2000年、三菱商事ローソンプロジェクト統括室長兼外食事業室長を経て、2002年5月ローソン代表取締役社長兼CEOに。
www.lawson.co.jp