
マッキンゼーで活躍後、問題解決能力の教育プログラムを事業化した渡辺健介氏。それは、感覚や経験に頼りがちなビジネスを、より成功へ近づけるアプローチといえる。
―子供向けの問題解決の授業を展開されていますが、そもそも問題解決とは?
問題解決能力とは、目標を達成する方法を考え抜いたり、壁に直面したとき、自分の力で乗り越え、主体的に生き抜くことができる能力だと考えています。どんなに大きく複雑に見える問題でも、いくつかの小さな問題に分解すれば解けていきます。そのことに気付けば自信がつき、前向きになり、精神的にも余裕が出てきます。そして自ら考え、決断し、行動することの楽しさが分かり、人生を切り開くために必要な能力となって身に付いていきます。その能力は、何度か繰り返して経験することで身に付いていくものであり、考え方の「癖」に近いかもしれません。
―「癖」として繰り返し身に付けていくためにも、早期から、つまり、子供たちへの教育だと。
はい。私は大学卒業、マッキンゼーに入社し、東京オフィスとニューヨークオフィスで働いていました。マッキンゼーでは問題解決能力が構造化されていて、体系的なトレーニングを受けることができました。ニューヨークオフィスに所属する500人のコンサルタントは50以上の国々から来ていましたが、英語が「あまりうまくない」人が沢山いました。重要視されているのは、語学力ではなく、問題解決力なのです。多少発音が悪くても問題はないが、問題解決力がなければ仕事にならないと思われているのです。誤解されがちですが、問題解決能力を身につけることは決して、人の感情を二の次にする「冷たい論理的な人」になることでも、口が達者で自分のことしか考えない「個人的で身勝手な人」になるわけでも、日本人的な良さを失った「欧米的な考え方をする人」になることでもありません。そうではなく、自分の力で考え抜き、行動する人になること。つまり、自分の力で人生を切り開く人になるということなのです。マッキンゼーに入社して問題解決の手法と出会ったときに「これが『考える』ということなのか!もっと早くから気付き、さらに深く学びたかった!」と強く思いました。私のように社会に出てからではなく、子供のころからこのような教育を受けられる機会があるべきであると考え、会社を退社し、教育事業を立ちあげました。まずは、このような教育の必要性を啓発するために『世界一やさしい問題解決の授業』という中高生向けの本として出版しました。各方面から反響があり、今では様々な立場の方々と、この考え方をいかに広めていくかの議論を重ねています。
―全ては、ご自身の経験からなのですね。今年2月には、慶應幼稚舎でも問題解決の授業をされたそうですが、具体的にはどのような授業なのでしょうか?
問題解決の考え方は、ただがむしゃらに解決テクニックのみを詰め込むだけでは、身に付きません。まずは実生活の中から「気付き」を芽生えさせることから始めます。例えば、掃除当番。普通は、決められた順番や配置に従い行う行為も、主体性を持って考え、行動に移せるようシミュレーションします。「そもそも、どうして掃除をするのか?」「実際の汚れ方は?」「当番を公平に決めるには?」と。今までは言われるままだった行動を、順序だてて自分達
渡辺健介・ワタナベ ケンスケ
1999年イェール大学卒業。同年マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィス入社。2005年ハーバード・ビジネススクール卒業。 同年マッキンゼー・アンド・カンパニーニューヨークオフィスへ移籍。同社を退社後、デルタスタジオを設立。神奈川県出身。