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菊池武夫×徳井克彦 対談

伝説のデザイナーと流通のプロフェッショナル
交差する2つの個性が捉える新たな地平

徳井 菊地先生との出会いは、私が大阪心斎橋の大丸の改装に携わっていた頃。もう5年も前のことです。当時、新しい売場に雑貨も含めたセレクトショップがあればと考えていて、菊地先生が新しく立ち上げた「40CAR ATS&525」に注目していました。

菊地 あの時は、まだブランドを立ち上げたばかりで、結局一緒に仕事ができずに残念でしたね。今度、大丸福岡天神店に出店した「40CARATS &525」は、自由に色々なことをやろうという気持ちで始めたブランドです。もちろん私がデザインをしますが、自分のデザインでは出てこないようなもの、その発想や作品に対するアプローチは違っていても、製品として素晴らしいと思えるものもセレクトしています。

徳井 菊地先生からコンセプトを聞いてすぐに共感し、大丸に入ってもらいたいと考えていました。ちょうど大丸が全館リニューアルすることになり、心斎橋時代からの思いをやっと叶えることができました。

菊地 「最高の贅沢を日常に」というコンセプトでセレクトしたアイテムの多くは、イタリアものが多いです。私は英国のトラディショナルなスタイルはもちろん好きですが、イタリア人は日々消費するような日用品にも優れたデザインを生み出します。職人の伝統というものがある。

日本人の多様性は、非常に面白い

徳井 イタリアという国は歴史的に英国の下請け業者みたいなポジションでしたから技術力が長けているわけですね。ところで菊地先生は日本のモードシーンを含めた現代というものをどのように見ていますか?

菊地 ファッションに対する選択の幅という点では、日本は世界で最も選択肢がある国だと思います。ヨーロッパにおけるファッションというものは、型にはまった伝統が完全に出来上がっています。だけど日本はどんなシーンにでも、まだ刺激が入ってくる幅があります。例えば、街ですれ違う若い人が自由な格好で歩いている。彼らのニーズがすぐに商品となり、消費され利益を生む。このスピード感はヨーロッパのどの国にもない。世界の基準で言えば、アニメやマンガも、ひと昔前まではとても文化的とは思われていなかった。でも日本は、それを文化的・芸術的なものだと世界を納得させてしまった。ハイカルチャーも、大衆文化も同じ目線で見ることができる日本人の多様性は、非常に面白いと思います。

徳井 私は大阪出身ですが、最近ローカル性というものが増々重要になってくるのではないかと思っています。博多に来てそれを強く意識するようになりました。今後福岡の大丸メンズは「博多スタイル」というキーワードでやって行こうと思っています。博多の人というのは基本的にはトラディショ…

STATUSdesign 09

STATUSdesign 09

ISSUE / WHOLE

DATE:
2008/06/27
INTERVIEW:
平松 宏之、菊池 武夫×徳井 克彦

PROFILE

菊池 武夫 / プロフィール
1939年東京都千代田区生まれ。71年“ビギ(BIGI)”を設立。75年“メンズ・ビギ(MEN’S BIGI)”を設立しパリに進出。日本人として始めてメンズの店をオープン。日本テレビ『傷だらけの天使』に主演した萩原健一の衣装デザインで爆発的な人気を獲得する。84年ワールドに移籍”TAKEO KIKUCHI”のデザインを後任に任せ、現在、「大人の為の大人の服」“40CT&525”をプロデュースしている最中である。

徳井 克彦 / プロフィール
1956年大阪生まれ。関西大学社会学部卒。78年4月大丸入社。心斎橋で17年間、紳士服売場で務め店頭での営業活動を学ぶ。その後大丸本部へ配属され、PBのもの作り担当。03年、心斎橋店の紳士服飾部部長として06年の改装までを担当。07年3月より、大丸天神福岡店、紳士服飾部部長として08年4月のグランドオープンを成功させる。