
- 今回の来日では、フランク・ミュラーの時計を愛用する日本のお客様とふれ合う機会をたくさんお持ちになるということですが、そのような機会はフランクさんにとってどのような意味がありますか。
フランク・ミュラー(以下 FM) お客様と直接会い、私の時計についての感想を聞き語り合うことは、時計作りのインスピレーションをかき立てる上でもとても重要なことです。数あるコレクションの中から、なぜこの人がこの時計を選んだのかを注意深く聞いていると改めて、時計製作の本質に気付かされることがあります。クリエイターにとって直にお客様と話しをするという行為はとても重要なことだと思っています。
¦世界中を飛び回っておられますが、日本のお客様の印象は?
FM 私の日本人に対するイメージは、穏やかで静けさを持った人々という印象がいつもあります。しかし、ここ福岡で先程までお客様とお話ししていたのですが、みなさんエネルギッシュですね。これは福岡の人が特別元気なの?(笑)。私の時計を持ってくれている日本人の多くは、情熱的で熱烈に私の時計を愛してくれている人が多い。なぜあなたは私の時計を選んでくれたのですかという理由を聞き出したくなるとても興味深い人々です。
- 日本のフランク・ミュラーの時計ファンは、とても個性的で自立心と向上心が強い、そんなタイプの方が多いようですが、そのような方々に受け入れられる理由を自己分析するとどのように思われますか?
FM そのような方々から愛されているということはとても嬉しいですね。私の時計作りはいつも、この時計をどのような人の腕にしてほしいのかということを具体的に思い浮かべながら進めていきます。人間を注意深く観察し、決してマスとしてではなく、全く違うそれぞれの個性を持った人々のために新しいモデルを開発しています。それがフランク・ミュラーを設立してから現在までの変わらない哲学です。独自の生き方とプライドを持った人が自分にフィットする時計を選ぶことができるように、フランク・ミュラーのコレクションには様々なアイデアを搭載したバリエーション豊かなモデルが揃っています。
- フランク・ミュラーの時計にはいつまでも若々しいブランドイメージと、その一方で数ある世界の老舗ウォッチブランドと肩を並べるほどの安定感と信頼感を持つブランドというイメージがありますが、この二つを両立させることができる秘訣とは、なんでしょう。
FM 私たちが手がけている機械式時計の製作工程というものは、本当に気が遠くなるほど複雑なものです。しかし私は、時計作りに限らず全てのメカニカルな仕事はどんなに複雑なものであろうと、究極のシンプルさを目指すべきだと思っています。例えばシークレット・アワーズやクレイジー・アワーズなどは、楽しげで遊び心に溢れたものですから一見単純なものに見えるかもしれませんが、その完成したメカニズムは「快挙」と言ってもいいものなのです。大切なことは、いかに複雑なものをよりシンプルに美しく作ることができるのかを巡る長い試行錯誤、深い思索の世界に居続けることができるかということです。
機械式時計という歴史のある伝統技術の習得と、それだけで満足せずもっと新しいことが出来るはずだというチャレンジ精神がいつの間にかわれわれのブランドイメージを磨き上げてきたのかもしれませんね。
フランク・ミュラー FRANCK MULLER
1958年スイスのヌーシャテル州ラ・ショー・ド・フォン生まれ。ジュネーブの時計学校在学中からその名を知られ、習得に通常3年かかる技術を1年で取得したという逸話をもつ。18世紀の天才時計師ブレゲの再来と評され、1986年、世界初の技術を搭載したトゥールビヨンを完成させる。1992年ヴァルタン・シルマルケスと共同で、フランク・ミュラー社を設立。次々に革新的な技術の複雑時計を開発し、マスター・オブ・コンプリケーションと呼ばれ世界中で賞賛されている。